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森下一乘のブログです


by kazunori_lifework

ホルテンさんのはじめての冒険。(3月10日)

 休みの日に東急文化村でピカソ、クレー、ミロの展覧会を見た後映画の看板が目に入った。ボルテンさんが犬をだっこしている写真である。興味を感じて入場した。

 ボルテンさんはノルウエーの鉄道機関車の運転手である。67歳が定年できっちり勤めた運転手を卒業するが退職当日に初めて遅刻をしてしまう。それからいろんな事件に遭遇するのであるが何か気が抜けてしまっている。定年でタガが外れたようだ。

 見た後で気がついたがオスカー賞の「おくりひと」の対抗馬であったという。ノルウェーの映画の名作として推薦されていたらしい。

 しんみりした映画で派手な立ち回りもなく、ただ年取った運転手のさみしい気持ちがにじみ出ている。日本で見た「鉄道や(ポッポ屋 高倉健主役)」を思い出した。あれも人生を鉄道にささげた人が主役だ。
 一生を仕事に打ち込んだ人は素晴らしい。見ていて感激する。

 最後もらった犬を連れて昔馴染みのホテルの女性のところを訪ねて行くところで幕が下りる。何か新しい生活をその女性としていくのではないかと想像させるシーンである。

 何もない雪景色の中を列車が黙々と走る。ボルテンさんはいつも葉巻をくわえて離さない。(禁煙の時代にパイプをくわえっぱなしというのも現代的ではない。)

 「送りひと」が良く外国人にわかったなという点を以前指摘したが、このノルウェー映画を見て主人公の哀歓がよくわかった。つまり外国人である私(日本人)も十分理解できたのである。文化はよそ者にはわからないと考えてはいけない。カルチャーはお互いに理解できるものなのである。このことがわかると世界は広がるのであろう。

 定年間じかの方はこの映画を見ることをお勧めしたい。一人になること、習慣が途切れることがどんなものか想像がつくのであろう。

by kazunori_lifework | 2009-03-10 11:14 | 趣味